八王子の景色   若宮大路幕府旧跡                                   [戻る]



若宮大路幕府舊蹟
鎌倉ノ幕府ハ始メ大藏ニ在リシガ嘉禄元年政子薨ズルト
共ニ將軍藤原頼経之ヲ宇都宮辻ニ遷シ後十一年ニシテ
嘉禎二年再ビ此ノ地ニ遷ス爾来九十八年頼経以後六代
將軍相繼ギテ政ヲ此ニ聴ケリ元弘三年新田義貞ノ鎌倉
ニ亂入スルニ及ヒテ廃絶セリ
   大正七年三月建之           鎌倉町青年会

頼朝、頼家、実朝と源氏の将軍は三代で廃絶する。
しかし、その後も鎌倉幕府の将軍は続いている。

第4代将軍頼経、第5代将軍頼嗣は五摂家のうちの九条
家から迎えられた摂家将軍であり、頼経のときに幕府は
大蔵から宇都宮辻に遷している。

そして11年後、同じく将軍頼経のときに再び幕府を遷す。
この若宮大路幕府旧跡がそれで、鎌倉幕府の滅亡まで
幕府の地であった。









若宮大路幕府跡は大蔵幕府と宇都宮辻幕府のちょうど
中間あたりになるのだろうか。
鎌倉らしい閑静な住宅地の細い路地に居狭そうに石碑
が建っている。

しかし、3か所の幕府跡はいずれもそこに幕府があった
という痕跡が残っていないのが残念なところか。

頼朝が造った大蔵幕府は大半が小学校になっている。
宇都宮辻幕府と若宮大路幕府は住宅地である。

日本で初めての武家政権となった鎌倉幕府の旧跡。
その歴史を象徴するのは幕府が置かれた場所や規模
なのだと思う。

古都・鎌倉を訪れる観光客は鶴岡八幡宮や禅寺など
も巡りたいだろうが、鎌倉時代を実感できるものも必要
なのではないだろうか。

この若宮大路幕府跡を見てそう感じる。