八王子の景色   段葛                                                 [戻る]



鎌倉駅東口を出て、ロータリーを越えて進むと若宮大路に出る。
そこに建つ二の鳥居の先から真っ直ぐに伸びる参道が段葛である。

近々に段葛の補修工事が始まり、当分段葛が見られなくなるという
新聞記事を見て、段葛の現状写真を撮っておこうと鎌倉に向かった
のは昨年の9月だった。

段葛の途中には、歩行者の利便のために設けられた車道に下りる
出入口があるが、これも無くなるかもしれないという。

もともとは、この参道は曲がりくねっていたが、源頼朝は政子の安産
を願って道をまっすぐにし、段葛を設けた。
その普請には頼朝も参加したという。

広い若宮大路の両側に土産店などが立ち並び、その前には観光客
が行き交う歩道がある。
その内側に2車線の車道、その中央に一段高く段葛が造られている。

段葛を歩くと車道を走るクルマを見下ろし、歩道を歩いているく観光客
も見下ろすという、独特な景色がある。
初めてここを訪れたとき、通行料を払わなくていいのかと思ったのを
覚えている。






鳥居の先に建つ「段葛」の石碑

段葛
段葛 一ニ置石ト稱ス壽永元年三月頼朝其ノ夫人政子ノ平産祈祷
ノ爲鶴岡社頭ヨリ由比海濱大鳥居邊ニ亙リテ之ヲ築ク其ノ土石ハ
北條時政ヲ始メ源家ノ諸将ノ是ガ運搬ニ從ヘル所ノモノナリ明治ノ
初年ニ至リ二ノ鳥居以南其ノ形ヲ失ヘリ
   大正七年三月建           鎌倉町青年會


鎌倉市内にはこの形の石碑が数多く建ち、史跡の場所と内容を解説
してくれている。
同じ形の石碑だが、建設年や建設者の名を見ると長い年月にわたり
いろいろな人達の手によって建てられたことがわかる。

史跡を保存しようという気持と、それを実行する力があったからこそ、
鎌倉は魅力ある観光地として永続しているのだと感じる。










段葛を鶴岡八幡宮に向かって歩くと、道幅が次第に狭くなることに
気がつく。

上掲の石碑のところでは約4.5mの道幅が、終端の八幡宮では
約3mに狭まっているのだが、その理由は謎である。

敵に攻め込まれた際に前進を阻むため、あるいは遠近法により参道を
長く見せるためなどの説があるが、果たしてどうなのか。

頼朝は、八幡宮の「参道」を「産道」に見立てて真っ直ぐに改修し、
同時に造った段葛を八幡宮から見て末広がりの形にしたと考えたら、
安産祈願と段葛造成の意味付けができるように思えるがどうか。

昨年秋、近々に段葛の修復工事が始まり、当分は段葛が見られなく
なるという報道があったので、取り急ぎ写真に収めようと訪問したが、
その後はなかなか行く機会がない。今、段葛はどうなっているのか。