八王子の景色   野外劇場の観客席                                    [戻る]



絶景!! 雄大な、見事な景色がそこに広がっている。
北条氏が築いた小田原城総構の北西端、水の尾口まで歩いてみようと小峯御鐘ノ台大堀切から進んでいく。
グラウンドや農地、キリスト教墓地などを過ぎていくと突然現れたのがこの絶景。
舗装された道のすぐ下はミカン畑となった小田原城総構の空堀が尾根の形状に沿って小田原市街へと落ち込んでいく。
道の先には箱根の山、正面には姿の美しい霊峰大山と丹沢の山の稜線、その右手前には曽我丘陵がよく見える。
曽我丘陵が南へと下った先にはエメラルド色の湘南の海がとても美しく見えている。
目の前に広がる小田原の街は荻窪から曽我方面にかけての水に恵まれた豊かな土地だ。
偶々訪れた場所だが、好天にも恵まれた絶景をしばらくたたずみながら眺めていた。

傍には白秋童謡の散歩道の案内板が立っている。

野外劇場の観客席
(白秋はこの道からの眺めについて、絶賛しています。)
裏山続きの水の尾道もいよいよ夏が深くなりつつある。
・・・この道は実にいい。丹沢大山と箱根の山の両方が見えて、一折ごとに違った新しい情景が目に見えてくる。
丘窪の蜜柑畑などはまるごと野外劇場の観客席のやうに円形で後高に段々になってゐる。(芸術の円光より)

(このあたりでは海の近くの早川にある曹洞宗海蔵寺の鐘の音が聞こえたようです。)
ところで海蔵寺の晩鐘が鳴る。「お誂え向き」過ぎるとは思っても、向こうの山で鳴る鐘をこちらの山で聞くのはいい。
(季節の窓より)


小田原市観光課が出している「小田原散策マップ」という冊子に、「白秋童謡の道を歩こう」というページがある。
「ペチカ」や「この道」などの童謡が書かれた案内板が立つ道が小田原駅から小田原文学館へとたどるのだが、
その中で「んっ?」と思っていたのが、この「野外劇場の観客席」。
そんな童謡は聞いたことがないが、案内板を読んでみてその意味が理解できる。
北原白秋もこの景色を見て楽しんでいたかと思うと、改まった気持ちで眺めてみてしまう。




総構の堀はミカン畑に利用されている。