八王子の景色   追分道標              [戻る]


追分の交番横に大きな道標が建っている。

交差点の中という立地と歩道橋の陰でもあり、案外目立たない。
道標にはこのような文字が刻まれている。

(北) 右 あんげ道
(東) 左 甲州道中高尾山道
(南) 千人町 江戸清八
(西) (文字なし)

追分道標は、文化8年(1811)、江戸赤坂の足袋職人・清八が
高尾山に銅製五重塔を奉納した記念に、江戸から高尾山まで
の甲州道中の3カ所の追分(分かれ道)に建てたものの一つ。
道標は昭和20年8月2日の八王子空襲によって四つに折れたが、
残されていた2つに石材を継ぎ足して平成15年(2003)5月に
復元された。
  (八王子市教育委員会案内板より)

道標に名を残す清八は、高尾山麓や高尾山中にも数基の道標を
建てており、ただの足袋職人ではなく紀州徳川家との関係がある
と言われる特異な人物である。
また、「あんげ道」は、江戸時代は「甲州脇往還」とも呼ばれ、
江戸幕府成立以前の古甲州道でもあった。