八王子の景色   並木町道標                        [戻る]


右 尾山
 麓マデ一里半
左 真覺寺 真覺寺マデ八丁  

と書かれた大きな道標が並木町に建っている。
ここは、旧甲州道中が鉤の手に折れ曲がる場所。
裏面には
大正二年五月建設とあり、この碑の建設当時は
現甲州街道(昭和2年建設)はまだ無かったことがわかる。
つまり、この碑にある「右 高尾山」が甲州街道だったのだ。

碑の正面には
斯文道人七十三叟書
とあり、奥津雁江揮毫による碑である。
(奥津雁江は明治から大正期の教育者で、斯文学院という
私学校を開き多くの子弟を育てた)

碑陰には、奉賛者の名前が多数刻まれ、
辞世  散るゝとも香を残したし梅の花  川月
の歌も刻まれている。

この碑は昭和二年の甲州街道の新道拡張・イチョウ並木の
植樹の際に真覚寺に移転されたが、昭和56年、この場所に
再設置されたという。
(参考:縣 敏夫 『高尾山の記念碑・石仏』 高尾山薬王院
 2007年10月)