八王子の景色   養老畑碑                                                          [戻る]



元八王子町の七面墓園の中に小さな石碑がある。
並木以寧が貧者のために提供した養老畑の碑である。

並木以寧は嶺雲亭という塾を開き、多くの村民の教育に
当たったほか、医者として貧しい人々に対して献身的に治療を
施し慕われた人で、上野町の法連寺に臥牛に乗った有名な墓
がある。
以寧は、天保一〇年(一八三九)九月に元八王子二丁目の
石神坂を上りきった右側あたりの自分の田畑のうち五〇〇坪
位を提供し、この畑から上がる一両弱のお金を極度に貧窮した
人びとに分け与えたことから
養老畑と呼ばれたところである。

(小山祐三『元八王子の歴史散歩資料』より)

碑には、
老畑 村役人 (「老」の字は下半分のみ)
の文字が見える。

千人同心には、並木以寧の他にも、小谷田子寅など貧しい人
に対する支援をした人が知られている。
千人同心が八王子に残した功績はとても大きい。