^{松原庵星布墓　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　[戻る]}

松原庵星布は八王子出身の江戸中期の女流俳人。
八王子出身でその才能は高く評価されている。

東京都指定旧跡　松原庵星布墓
所在地　八王子市元横山町二−八-四　大義寺墓地
指定　　 昭和四年五月
星布は享保十七年（一七三二）に八王子横山宿の榎本家に生まれた女流俳人。
はじめ白井鳥酔に学び糸明窓と号し、のち、春秋庵白雄に師事、品川鮫洲にいた
二世熊沢鳥酔のあとを継いで三世松原庵を襲い、星布と称した。
寛政四年（一七九三）九月四日一世鳥酔の忌日に当り髪を下ろして尼となった。
星布は和歌は万葉調を好んでよみ、漢詩にも通じ、特に絵をよくした。
文化十一年（一八一四）十二月二十八日、八十三才で没した。墓碑銘は「松原庵
梅聰慈香法尼」。「星布尼句集」は寛政五年（一七九四）星布の子漁元の編集した
ものであるが、星布の俳風は繊細で清麗かつ幽婉である。
墓標左側面の「咲花もちれるも阿字の自在哉」は「星布尼句集」にある異体である。
　　平成十年三月建設　　　　　　　　　　　東京都教育委員会
（東京都教育委員会の解説板より）

星布が師とした白井鳥酔や春秋庵白雄は松尾芭蕉の系譜である。
星布も芭蕉の句を繰り返し読み、尊敬の念を抱いていたに違いない。
晩年に星布が新町・永福稲荷神社の建てた日影塚は、芭蕉の句「蝶の飛ぶばかり
野中の日影かな」を刻んだ石碑である。
星布が求めた俳諧の境地と遥かな師・芭蕉への憧憬を感じる。
日影塚は明治大火で焼損したが、戦後に松原庵九世が再建した。

また、星布は八王子市内にもいくつかの名前を残している。
楢原町・念西庵の「星布椿」は星布が手ずから植えたものだという。
また、弐部方町・八坂神社や梅坪町・天神社に連額を奉納（現在は八王子市郷土
資料館にて保管）している。