龍光寺文和の板碑 [戻る]
宇津木町の龍光寺の境内に電話ボックスのような建物が
あり、傍らには「市指定有形文化財 龍光寺文和の板碑」の
立札が立っている。
そのガラス越しに、大型の板碑が見える。
市指定有形民俗文化財
龍光寺の文和の板碑
所在地 八王子市宇津木町七三八番地
指定年月日 昭和三十一年七月二十八日
名号を主尊とする板碑で、周囲に供養者である時宗の宗徒
一〇六名の阿号(時宗の法名)が刻まれ、時宗帰依者の結
衆板碑として貴重な資料である。 現在はこの地にあるが、
大正初年頃までは谷地川沿いの街道に面して建っていたと
いう。
板碑は先祖供養や逆修供養(自分の死後の供養)のため
に石に彫られた卒塔婆で、おもに緑泥片岩で作られ鎌倉・
室町時代に関東地方を中心に流行した。この板碑は、石工
の銘が刻まれている点でも貴重である。文和二年(一三五
三)時宗の二祖他阿真教の三十五年忌に道立したものと
伝えられる。
平成十七年三月三十一日
八王子市教育委員会
板碑に彫られた「南無阿弥陀佛」の名号は力強い文字である。
この周囲に106名の宗徒の阿号があるというが、近づいて見る
ことができないため、確認ができなかった。
平成21年度の八王子学園都市大学いちょう塾の縣敏夫氏の
講座「板碑宝篋印塔五輪塔から見た中世八王子の歴史」の資
料にこの板碑の銘文が掲げられている。
縣氏は、この板碑の拓本をとって銘文を読み解いたのだろう。
「龍光寺の本堂前の仮堂内に立ち、市文化財に指定されてい
る。市内で最も大きく、高さ一六八、幅四三、厚さ五cmをかぞ
える。側面は研磨された梯形加工がみられる。頭部山形の先
端まで損傷がなく石質・保存ともに良好である。」
(「板碑宝篋印塔五輪塔から見た中世八王子の歴史」講座資
料より)