松姫君御手植ノ松 [戻る]
台町・信松院は、甲斐武田の姫君・松姫様開創の寺。
その境内に小さな石碑がひっそりと建つ。
文字の線が細いため、よく見なければ碑とは気付かない。
武田信玄公息女松姫君御手植ノ松
抑々此老松樹ハ松姫君ガ案下ノ心源院ヨリ此地へ移リ玉フ時
御輿ニ入レテ持チ来リタル鉢植ノモノニシテ天正十年ノ秋松姫
ガ自カラ鉢ヨリ抜キ出シテ茲に手植シタルモノナリト云爾
明治三十八年十一月 當院二十五世善鳳代
武田信玄公近習役窪田新兵衛十一代孫
窪田 栄 建之
かつてはここに松姫君が植えられた松があったという。
心源院から携えて来た松は、自分の名前と同じ名を持つ。
松姫はどのような思いで松を眺めていたのだろうか。
だが、残念なことにその松を見ることはできない。
昭和20年8月の八王子空襲の際に焼失してしまったという。