八王子の景色   小谷田子寅の碑                              [戻る]



下恩方町・心源院の山門前にひとつの碑が建っている。
文字は薄くて読み難いが、小谷田子寅の碑である。

市指定史跡
小谷田子寅の碑
  所在地    八王子市下恩方町一九七〇番地
  指定年月日 昭和三十九年七月二十三日
小谷田子寅(1761〜1831)は千人同心で、宝暦十七年(一七六一)
四月四日、武州多摩郡川口村(現八王子市川口町)に生まれ、名を
小谷田権右衛門昌亮という。
幼くして父親を亡くしたが、勉学に励み天文学・洋学に詳しく、特に医学
に明るく、薬を乞うもの、診断を求めるものがあとをたたず、民衆に慕
われたという。
この善徳を称えるため、千人同心きっての碩学といわれた塩野適斎が
撰文し、植田孟縉が揮毫ならびに刻字したきわめて貴重な碑である。
碑面には三百八十六文字が刻んである。
   平成二十年一月三十一日
                           八王子市教育委員会
(八王子市教育委員会の解説板より)


塩野適斎と植田孟縉は「新編武蔵風土記稿」の編纂に携わった、千人
同心を代表する優秀な人材。
この2人が碑の建立に関わっていることから、小谷田子寅の人物を推
し量ることができる。
千人同心の並木以寧も民衆に慕われた人物だが、善徳を行った人物
を賞賛する碑は、本人の善行はもとより、それを称える周囲の人達の
気持ちも含め、心が洗われる思いがする。