八王子の景色   大乗妙典一字一石塔(弐分方町)                     [戻る]



由井野の畑の一角に大きな四角い自然石の供養塔が立っている。
奉書冩大乗妙典一字一石」の文字が彫られた四角い供養塔の横に、その由来
がある。(原文が長文のため要約して掲載)


大乗妙典一字一石供養塔再建由来
今から約二五〇年前の将軍家重康公時代は富士山宝永噴火の大災害と享保の
大飢饉(一七三二年)があった。封建制度の中で不自由な生活ではあったが、
この地の人々は確固たる信念を持ち、農事の合間に先見の明ある住職の指導の
もと多くの小石を集めて、祈りを込めながら経文を一字づつ書き記し、この地に
埋めてその上に供養塔を建立した。昔時の人々の持つ不屈の忍耐力とその熱意
金剛不壊の信仰心、お互いの心を一にして取り組む協調心が偲ばれます。
平成二十年四月に道路拡幅に伴い墓石群を調査したところ、一字一石供養塔が
出現し、その地下1メートルに一字一石が多量に埋められてた。それを発掘し
正確に記録し三度洗い浄めて再び埋め戻し、供養塔を一三五年ぶりに再建正置
し脇に延命地蔵菩薩を建立して萬年山無量院に縁のある諸精霊を祀り、赤心より
末永く供養をいたします。
    平成二十年二月吉日               神戸山法泉寺 宗信比丘

一字一石とは、大乗妙典の経文を一字づつ小石に書き写したもの。それを地中
に埋めて、その上に建てた供養塔がこの石ということだ。
数年前に私がこの一字一石塔を見た時は、路傍の畑の隅の土の上に置かれて
いるだけだったが、こうして再建されたのは石の持つ魅力があるからだろうか。