八王子の景色   稲荷神社(上恩方町・駒木野)                               [戻る]



笠木が折れて落ちた石の鳥居がまず目に入る。
奥へと進むと、羽目板が無くなった神楽殿や破損した狐など
荒れた状態の神社であり、なんとなく薄気味悪い。

だが、石の鳥居や神楽殿を備えた神社であったということは、
この神社の造営や維持には相当な財が投じられていたと思
われる。

この上恩方・駒木野地区は、以前は養蚕が盛んだったらしく、
現在でも製糸工場らしき建物跡が残っている。
推測だが、地域の養蚕・製糸関係者が、生糸の輸出などで
得た利益を使ってこの稲荷神社を勧請もしくは再建したもの
ではないかと思われる。

だが、一時は大好況であった生糸産業も、次第に不振となった
ため、維持が難しくなっているのだろう。
しかし、境内の雑草はきれいに刈られているので、氏子の方々
は手入れを続けているようだ。








石段を上った奥には、覆屋の中に本殿がある。
大きなものではないが、大変凝った造りの本殿であることは、
素人目にもわかる。

小さな陶器の狐がたくさん並べられているのが、篤い信仰を
受けていた証であろう。
また、隣の建物には、数えきれないほどの陶器の狐が並び、
不気味な感じさえする。