薬王院大師堂 [戻る]
薬王院本堂の横建つ大師堂は屋根の伸びやかな曲線が心地よい。
東京都指定有形文化財(建造物)
薬王院大師堂
所在地 八王子市高尾町二一七七
指定 昭和五三年三月一六日
建立年代についての確実な資料は欠いていますが、延宝五年(一六
七七)薬師堂炎上の際に類焼し、その後、再建されたものと推定され、
建物の様式技法から江戸中期は下らないと考えられます。特に、
向拝、虹梁、木鼻及び海老梁などの絵模様彫刻技法は、建立年代を
遡る古様式を具備しています。
『新編武蔵風土記稿』によれば、当時は大日堂と称し、「薬師堂ニ向テ
アリ、三間四方南向ナリ」という位置にありました。その後三回にわたる
大改修を経て、現地に移されていますが、近世中期の社寺建築様式
の傾向を知る上で、古様式を墨守する流派の存在を示すものであり、
建築史上貴重なものとして東京都の有形文化財(建造物)に指定され
ました。桁行三間、梁間三間、向拝一間付きで背面に一間通りの内陣
並びに中央間一間、両端間は各一間の仏壇及び位牌壇を付設してい
ます。屋根は宝形造銅板葺です。
平成二二年三月建設 東京都教育委員会
『武蔵名勝図絵』の挿絵によると、現在薬王院の広庭と呼ばれる場所
(仁王門から本堂への階段の間)に、大師堂、ヤクシ堂、ゴマ堂の三
堂が並んで建っている。
大師堂には弘法大師(空海)が祀られている。
弘法大師は真言密教を日本に伝えた人であり、高尾山薬王院は真言
宗智山派の大本山である。
大師堂の周囲には高尾山八十八大師霊場として、四国八十八ヵ所に
なぞらえた石仏が並んでいる。