八王子の景色    心源院 惣門                  [戻る]



下恩方町・心源院の境内にに木組と屋根だけが残る門がある。
礎石の上に建つ6本の太い木の柱で支える大きな屋根は長い年月
が経っていることが見てとれる。

「新編武蔵風土記稿」の心源院の項には、「
惣門 二間四方」との
記述があるのみで、詳しいことは不明である。

風土記稿には、心源院の開基は「大石源左衛門道俊」とされており、
浄福寺観音堂の棟札には、「源左衛門入道道俊並びに子息憲重」
の記載がある。

浄福寺城を居城とした大石道俊が、この広大な敷地に本堂、開山堂、
僧寮、鐘楼など七堂伽藍が立ち並ぶ壮大な寺院を建立し、その子
大石憲重は北条氏康の次男・藤菊丸(後の北条氏照)を養子にして
浄福寺城で育てていったのであろう。

太平洋戦争の八王子空襲により心源院の伽藍は焼失してしまったと
いうが、この門は、その戦禍を免れたのか。
この門は戦国時代の姿を残す貴重な遺構なのかもしれない。