八王子の景色   元本郷浄水施設                                                      [戻る]



八王子市役所の駐車場の西側は元本郷浄水場だが、その敷地内にある
浄水施設(ポンプ・電気室)は昭和3年竣工の歴史あるものである。

昭和三(一九二八)年に竣工した市内最初の浄水施設。鉄筋コンクリートに
よるラーメン構造の造形を生かし、古典様式をアレンジした意匠が施されて
いる。設計者は不明であるが、建設のための設けられた八王子市臨時水道
部と考えられる。一層のコンクリート造で平面はL字形。外部は擬石モルタ
ル塗、内部は漆喰塗で下部はタイル張り、床は防水モルタル仕上げを用い
ている。元来は浅川の地下伏流水を汲み上げ、濾過した水をポンプで散田
山の配水池に送水して自然流下で市内全域に給水を行っていた。南側の
門扉や西側の配水池も同時に建設されたものである。昭和五十(一九七五)
年頃に南側管理室を増設している。(中略)
入口上部の半円形の窓を含む開口部まわりがサッシに変えられていること、
入口上部の八王子市の紋章が欠落していることを除けば、建物は良く旧状
を保っている。
建物自体の状況は良好であり、数少なかった戦前期の鉄筋コンクリート建
築が入念に建設されたことをうかがわせる。古典主義を自由にアレンジした
デザインも軽快で、規模の大きさと相まって見るべきところが大きい。戦前期
の鉄筋コンクリート施設の良質の典型であると考えられる。
(八王子市郷土資料館『八王子市伝統的建造物等文化財調査報告書』)






少し古いが、建物の裏側から撮影したもの。
冬だったので殺伐としていたが、その後手入れもされて、上の写真のように
きれいになったのだろう。