八王子の景色   湯の花トンネル                                                    [戻る]



煉瓦で造られたトンネルが裏高尾の荒井地区にある。
下部が絞られた美しい曲線を煉瓦が描いている。

高尾駅から2.5kmほど相模湖寄りのところに、湯の花
トンネルがあるが、その上り線のトンネル(全長160.9m)
は1901(明治34)年の開業以来のものであり、煉瓦が
使用されている。

(山田 俊明「多摩 幻の鉄道 廃線跡を行く」より)


「湯の花トンネル」と書くが、読み方は「いのはなトンネル」。
本来は「猪鼻トンネル」と書くべきだろう。

八王子城山」の外郭から下る尾根が旧甲州街道を阻む
ように突き出してしるが、その形が横から見ると猪の鼻の
形に見えることから「猪鼻」と呼ばれたのだ。

だが、ここに甲武鉄道が敷設され、トンネルを開通させた
際に、「猪鼻」を「湯の花」と書き換えてしまったらしい。


「湯の花トンネル」は、太平洋戦争の終戦間際に米軍艦載
機による国内最大の列車銃撃事件が起きた場所でもある。






今は湯の花トンネルの上に圏央道と八王子ジャンクション
の高架道路が走る現代的な景観に変わってしまった。
しかし、このトンネルで起きた悲惨な事件は今後も記憶に
留めておかなければならない。