八王子の景色   稗穀倉                                                                   [戻る]



稗穀倉(ひえこくぐら)は「へえこぐら」などとも呼ばれ、飢饉の際の備え
として、村中で稗を出し合って貯蔵していた村の共有の備蓄庫だった。

この稗穀倉は、建造年代は不明だが、天保の大飢饉時に建造された
ものではないかという。
かつては上恩方の共有地(上恩方バス停付近)にあったが、明治初期
に旧名主家の塚本家屋敷地の一隅に移築されたらしい。
内部材の取替えや撤去が行われている一方、土台や柱の傷みが激しく
残存状態は良くない。
しかし、八王子に散見される郷倉の例として、典型様式を示していて、
上恩方の歴史的遺構といえる。

(参考:とんとん健康散歩の会『とんとん健康さんぽ道67回』、八王子市
郷土資料館『八王子市伝統的建造物等文化財調査報告書』)

この稗穀倉には釘は1本も使われていないという。