八王子の景色   南浅川橋                                                           [戻る]


白御影石の外観が天皇御陵の参道に相応しい橋である。
大正天皇の崩御によりこの近くに陵墓地が定められた。
その際に設置された皇室専用駅「東浅川駅」と多摩御陵とを結ぶ
参道に架けられたのが南浅川橋である。

テレビドラマの撮影の背景としてこの橋を何度か見たが、
私にとっては小さい頃の遊び場として思い出のある風景である。
橋の下の大きなアーチが特徴的だが、その両側に造られている
四角なトンネルも実用を兼ねた面白い意匠だ。
橋の幅がとても広く、電線など視界を遮るものが無いのも良い。















橋のたもとには「橋歴」と題された説明板が置かれている。

橋歴
「東京の名橋 南浅川橋」
大正15年(西暦1926年)12月25日 大正天皇崩御により、当時の
東京府南多摩郡横山村・浅川村および元八王子村(現八王子市長
房町・廿里町および元八王子町)地域に御陵所の造営が決定した。
これに伴い、東京府が八王子駅と浅川(現高尾)駅間の仮駅から御
陵(多摩陵)に至る参道新設を行い、南浅川に全長約87mの木橋が
架けられ、南浅川橋と命名されたのが始まりである。

現在の橋は、昭和11年(西暦1936年)の大正天皇十年式年祭に
あわせて、東京府が木橋を架け替えたものである。
構造形式は関東大震災後東京(帝都)復興時に開発されたコンクリ
ートラーメン橋台のコンクリートアーチ橋で、御陵参道の橋として、
威厳のある形式と周辺の自然との調和を考慮した意匠が施されて
いる。
昭和64年(西暦1989年)1月7日の昭和天皇崩御、武蔵野陵造営
にあわせて、平成元年2月に東京都が南浅川橋の洗浄・補修・参道
の整備を行った。