八王子の景色   おついで地蔵                                                 [戻る]



高尾街道の石神坂バス停近くの歩道に小さな木野祠がある。
道路の改修工事に伴い、何度か場所を変えてはいるが、昔からこの
辺りにあったもので、今も歩道の一角に大切に残されている。

おついで地蔵
元八王子二丁目、石神坂のバス停に向い、ゆるやかなこう配をのぼる。
日枝神社の杉木立をすぎると、左手の小高い土手を背に約1メートル
四方のやしろが、ほこりをかぶって置かれている。(中略)
この地蔵のいわれが大変かわっている。わざわざ祈願してもご利益が
ないが、「これからどこそこへまいります。その途中ですが、一寸お願い
申し上げます」とことわってから祈願すると、諸願成就間違いなし。
この地蔵の建立はさだかではないが、尊像に「元禄五庚午天・・・」と刻
まれてあることから、およそ二百八十余年の昔のものらしい。(中略)
[いま]おついで地蔵はいまも激しい交通量をじっと見ている。ほこりを
かぶったほこらの中をのぞくと、一円、五円のおさい銭、お米、千羽鶴、
お人形、土鈴などが供えられていた。
(東京都八王子市『ふるさと八王子』より)








わざわざお参りにきてのご利益はなく、何かのついでに立ち寄って願を
かけると成就するという。

お地蔵様にしてみれば、「時には、忘れずに立ち寄ってくださいよ。」と
言いたいのかも知れない。

今も祠の中のお地蔵様の前にはいろいろなものがお供えされている。
地域の人から大切にされていることが感じられる。