八王子の景色   大日如来(金剛界)坐像               [戻る]


館町・龍見寺境内の大日堂の中を拝観させていただく機会を得た。
大日堂の建物を見に来たことは何度かあったが、内部に入るのは初めて。
この大日堂で有名なのが大日如来坐像。堂の奥で黄金色に輝いている。

東京都指定有形文化財(彫刻)
木造大日如来坐像(大日堂安置)
大日如来の姿には2種あります。一つは、胎蔵界の像で両手を膝上におき、
腹前で法界定印を結んでいます。本像は金剛界曼荼羅と呼ばれ五仏宝冠
をかぶり、蓮華座に座し、両手を胸前にあげて智拳印を結ぶ姿にあらわさ
れています。
本像は、像高88.5cm、寄木造、、漆箔、玉眼(当初は彫眼)、条帛を懸け、裳
を着けています。作者は不明ですが、藤原時代末期の制作と思われます。
細身な体相、柔和な面相、大きく見開いた両眼、浅彫りの衣紋など、藤原時代
末期の様式をよく表しており、両足を組んだ膝の辺りの衣紋などが美しく、南
多摩地方における遺作として東京都の有形文化財(彫刻)に指定されました。
『新編武蔵風土記稿』によれば、「大日は古へ羽州湯殿山遥拝のため勧請
せしにて、其始は今の堂前の畑中にある小塚の上に造立せりと。今の地に
移せし年暦等詳ならず、いかなるゆへにや、慶安年中大日料五石の御朱印
を御寄附ありしといへば、昔は竜見寺この堂の別当なりしならん(後略)と記
されています。
(東京都教育庁解説文より)

大日如来像は壇上に安置されていて、像の前に立つと、その顔をやや下から
見上げるようになる。端正な姿と深いまなざしは実に美しい。
しばらく眺めていると、自然と手を合わせてしまう。
仏像には何か不思議な力が秘められている。
長い時の流れの中、多くの人が大日如来に手を合わせてきたに違いない。