先覚之碑 [戻る]
泉町にある泉町会館の敷地に、ちょっと変わった大きな石碑が
建っている。
石碑の上部には「先覚之碑」と大きな文字があり、
その下にはめ込まれたプレートに説明が書かれている。
近代日本史上劃期的偉業を記念す
明治の初年維新革命の目的を完成し、永く封建の眞黒い幕を、
取り除く為に、日本の先覚者達は、こゝ柏木豊次郎氏邸に集う
た。
板垣退助、石阪昌孝、星亨、村野常右ヱ門、大江卓、森久保
作造、影山英子、林副重等々、外有名無名の人々、特に村内
の先覚者八氏を交えて。
自由と平等を基とする、人民自らの政権を目指し、廣く教育に、
文化に、宗教に、産業に志を一にし、先駆的偉業が発足した。
近代日本史は、先ず元八王子より輝いた。
一九五七年十一月三日 撰文 先覚者賛碑建設委員會
また、碑の下部には8名の名が刻まれていが、これはプレート
にある八氏のことであろう。
山上卓樹 山口重兵衛 奥田兵助 宮崎豊吉
青木松兵衛 武藤勘次郎 柏木豊次郎 山上卓三
ここ、泉町会館は柏木豊次郎邸跡であるという。
碑にも名が刻まれる柏木豊次郎を調べてみた。
柏木豊次郎
1842年(天保13)7月24日〜1900年(明治33)7月26日。
自由民権家。元八王子生まれ。山口重兵衛の兄。家業を営む
一方、山上卓樹・山口重兵衛を助け自由と平等の運動を続ける。
カトリックに帰依するほか、1882年9月自由党入党。民権結社
鴻武館取締り。村会議員を務める。(多摩の民権家と結社)
(八王子事典の会「八王子事典」より)
山上卓樹については、「聖瑪利亜教会」で触れることにしたい。
山口重兵衛は元八王子事務所の庭に顕彰碑があるので、その
掲載の際に触れることにしたい。
この先覚之碑は、橋本義夫氏の建碑運動によって出来たもの。
橋本氏は、明治時代に封建社会から続いた差別とたたかい、
道を拓いた人たちを讃える記念碑を計画したが、建設に至る迄
は困難を極め、「満身創痍の企画、苦痛きわまりなし」と記した
という。(K・H氏「ふだん記20号」より)
この碑には、橋本義夫氏の強い思いが込められている。