八王子の景色   三度飛脚の常夜燈                                     [戻る]



小仏にある寶珠寺の境内に入り、本堂の前を通り過ぎた先に、
小さな祠があり、その左右に石の常夜燈が立っている。
「甲府三度飛脚の常夜燈」と呼ばれるものであらう。


歴史の散歩道91 三度飛脚の常夜燈 裏高尾町1785
「小仏」のバス停から小仏峠方面へ歩いていくと、山中にひっそり
とたたずむ小仏山寶珠寺(こぼとけさんほうしゅうじ)が見えてくる。
甲州道中小仏宿の西端にある寺院で境内には都指定天然記念
物の樹木「小仏のカゴノキ」がある。
境内の階段を登ると、山王権現社の前に2基の常夜燈が立って
いる。これらはもともと甲州街道沿いにあり、明治になって寶珠寺
に移されたという。社に向かって左の常夜燈の土台には「甲府三
度飛脚中」と彫られている。三度飛脚とは江戸時代の民間の郵便
制度で江戸と上方(大阪・京)を月3回結んだことに由来する。や
がて、五街道や主要街道へひろがり、ほかの都市とも結ばれるよ
うになった。甲府と江戸を結んだ飛脚は元禄元年に始まり、甲府
出立は3の日、江戸出立は8の日で、料金なども細かく設定され
ていた。江戸と甲府の間は頻繁に飛脚が行き来し、情報のネット
ワークができていたのである。
甲州道中でも有数の難所だった小仏峠。ふもとの小仏宿には飛
脚たちの定宿があったという。飛脚たちは旅の安全を祈願して、
常夜燈を寄進したのであろう。          (文化財課学芸員)
(広報はちおうじ「歴史の散歩道91」より)



正面に
常夜燈」、側面には「文久二壬戊歳」と刻字され、台石
には「
甲府三度飛脚中」と刻まれている。