正八幡宮(高月町) [戻る]
高月町の都道から少し入ると、大きな広場に出た。
いや、狛犬と神社の社殿があるのだから、神社の境内だ。
しかし、これほどに境内に樹が茂っていない神社も珍しい。
猛暑日の陽射しが痛いほどに感じる。
正八幡宮
右同所。村内の鎮守。神体木立像。本社。拝殿。雑木の森あり。
同所興善院持。この社地に往昔は槻の古木ありて、高く聳え
たる社木ゆえ、土人村名に唱え来たれる由。それより高槻村と
は号せしという。又、大石信濃守顕重は長禄二年(一四五八)
三月高槻に移り居住すと、かの家のことを記せし書に見えたり。
されば、長禄の頃より高槻村と書きたるにや。その古木は中古
までありけるが、村内の円通寺を造営の砌に伐採、この槻一本
にて本堂、庫裏に至るまで再建の材に用いしと云。社内の地に
古碑一基ああり。薄き板石、長さ二尺許。幅九寸程。上に弥陀
の梵字一字あり。その下に「貞和五(一三四九)壬□六月とあり。
弥陀八幡をまつり、本地としてこの碑石を造立せしものなり。
(植田孟縉著 片山迪夫校訂『武蔵名勝図会』より)
この神社の社殿の特徴は、覆屋の手前半分が舞台のように
造られていること。
ここで神楽など奉納するためのものだろうか。