瑞雲山 龍泉寺 [戻る]
陣馬街道が関場バス停の先で分岐する。
左い曲がると陣馬街道で陣馬高原下へと向かう旧佐野川往還。
直進すると、醍醐川に沿った静かな山里へ入っていく。
しばらく進むと、道が左に大きく曲がるが、直進して正面にある月見橋を
渡ると、やがて見えてくるのが龍泉寺である。
傍らに石碑が建つ石段を上ると民家の庭に入ったようで何だか落ち着か
ないのは、民家のような造りの本堂とこじんまりとした境内のためか。
竜泉寺
右同所。小名森久保にあり。瑞雲山と号す。宗旨幷に本山右同断。客殿。
庫裏。観音堂 境内にあり。本尊薬師如来 木坐像、二寸五分、運慶作。
開山寿永保公禅師 寛正五甲申年(一四六四)起立。
(植田孟縉著 片山廸夫校訂『武蔵名勝図会』)
武蔵名勝図会はごく簡単に記述している。
境内に入ると説明板が立っている。
市指定有形文化財
聖観音菩薩立像(鉄造)
所在地 八王子市上恩方町二五一七番地
指定年月 昭和四十八年四月二十六日
この仏像は鎌倉時代の作と推定され、像高三十七cm(台座共)で市内
では唯一の鉄仏である。全体的に鉄という材質のために仕上りが滑らか
にいっているとはいえないが、鉄造技術の確かさが認められるすぐれた
仏像である。
なお鉄仏は、中世、関東地方などで盛んにつくられたもので、時代的、
地域的な特徴をそなえた仏像として特異な存在である。
昭和五十三年五月三十一日
八王子市教育委員会
(八王子市教育委員会の説明板より)
市内で唯一の鉄仏があるというが、武蔵名勝図会にはこの鉄仏のことが
記載されなかったのは何故なのだろうか。
なお、先程入口の石段の傍らで見た石碑(青郊碑)には興味深いことが
書かれているが、それについては「碑・石碑」の項で記載する。