霊照庵 [戻る]
初めてこの霊照庵を訪ねたのは7、8年前になるか。
小田野の古道から山道に入ると、道はかなり荒れていた。
滑りやすい赤土の道を注意しながら登っていくと、
目の前に突然広場が現れ、赤い小さな堂が建っていた。
周囲に人気はなく、夕暮れが迫っている時間だったので、
実に薄気味悪かった。
ただ、今だにその時の印象が強い場所ではある。
靈照庵
年貢地、一反歩、律派、江戸湯島霊雲院の末、村内宝生寺の
第十八世霊照比丘尼、元文年中起立せりと云、庵は五間に
八間、本尊大日坐像、長一尺五寸なるを安置せり。
(林述斎編 蘆田伊人校訂『新編武蔵風土記稿』)
宝生寺の尼僧が江戸時代にこここに建てた庵だという。
5間に8間もあればそこそこ大きな建物が建っていたことに
なるが、なぜ人里離れたこんな山中を選んだのかは合点が
いかない。