熊野神社(犬目町) [戻る]
犬目町の熊野神社の木造の両部鳥居が実にいい雰囲気。
小さいながらもしっかりと造られていて、やや背が高いので
スマートに見える。
さらに味があるのが、鳥居に掲げられた扁額。
天使が翼を広げたような形の扁額は、初めて見るもの。
『熊野神社』の文字は右から書かれている。
薄いピンク色に彩色された背景には桜の花が描かれている。
また、上下には赤い『奉納』の字が書かれている。
金属の縁には、『昭和二十一年十月吉日』『木崎保拡作』と
彫り込まれている。
終戦から一年経った頃に造られた手作りのユニークな扁額。
鳥居もその頃に建てられたものなのかもしれない。
天使の羽に見えたのは、古事記に出てくるスサノオのミコトが
「八雲たつ 出雲八重垣 妻隠みに」と詠んだ神の国の象徴か。
熊野神社
鳥居をくぐり急な石段を登ると、境内の正面に拝殿があります。
拝殿は正面3間、奥行2間、さらに2間の覆堂があります。
覆堂に鎮座する本殿は、4隅の柱上、柱下共に、龍と狛犬の
彫物、3面の壁にはそれぞれ異なった彫刻が施されています。
石段手前の灯篭には、「奉納御神前、寛政三辛亥歳(1791年)
九月吉祥日、武州多摩郡犬目村施主氏子中、惣氏子他四人」
と刻まれています。
(遊佐順子「犬目ものがたり」より)