南清山 一乗院 観音寺 [戻る]
万町にある観音寺は、いつも境内がきれいに手入れされてい
て、とても気持ちがいい。
ここは、千人同心頭中村家から移設したと伝わる山門や蘭方
医秋山義方の墓所、佐藤光重による本堂向拝の彫刻、下犬目
から飛来したという霊像を祀る観音堂など、見どころが多い。
観音寺
蘭方医秋山家の墓がある。墓石にAの文字が刻まれている。
秋山義方(1779〜1857)は眼科医として有名、高野長英とも
親交があった。息子の千人同心組頭・秋山佐蔵(1816〜87)
も内科・眼科医。1858年に、わが国の印刷史上初期の金属
活版印刷で西洋医学の翻訳を行った。その息子秋山練造(18
72〜1943)も医者。森鴎外の先任の陸軍軍医総監を務めた。
山門は、千人頭・中村家の屋敷門を移築したものといわれて
いる。
(八王子市教育委員会の解説板より)
山門を入ると、両手を横に広げたような印象の本堂の存在感に
圧倒される。
本堂でまず眼につくのは、独特な屋根の意匠。
屋根の上のふたつの飾りとその台座は観音寺ならではのもの。
向拝の長い唐破風は奥行きが感じられ、そこに飾られた彫刻が
こちらに向かって飛び出して見えるように工夫されているようだ。
最初に感じた本堂の強烈な存在感は、浮き出して見える向拝と
そこに施された彫刻群、背後に見える特異な屋根の飾りによる
ものであろう。