八王子の景色   喰い違い虎口(旧解説板)                   [戻る]


信濃屋敷方面から二の丸に入る虎口はU字型の土橋になっている。
傍らに置かれた解説板は、これを喰い違い虎口と説明している。

喰い違い虎口
城の出入口である虎口(こぐち)は、防御を攻撃の両方の機能を備えた
もので、中世において発達した。喰い違い虎口の特長は堀と土塁により
通路がS字型となっていることである。他に本城址では、直角に折れ曲
がって曲輪に入る枡形虎口が本丸などで見られる。
(東京都の説明板【2012年3月に撤去】より)

本来の「喰い違い虎口」とは、前後に間隔を置いて左右から伸びる土塁
によって、敵に視界を与えず、直進させない構造の虎口をいうが、この
土橋を「喰い違い」や「S字型」と呼んでいいものなのか。

「S字」とするならば、空堀が左右から土橋に食い込んでいる形を指す
のだろうが、そんな形にはなっていないので、私は喰い違い虎口とは呼
んでいいものか疑問に思っている。







登り坂となって大きくU字を描く土橋は、二の丸へと入っていく。

少し進むと右には大きな馬出(東馬出)があり、左には土が盛り上がっ
ている場所がある。
この盛り上がりと東馬出との間には、門あるいは櫓門があったものと
考えられる。

土橋をさらに進むと、二の丸の内枡形に入っていく。
土橋を進む間も東馬出からは側面と背面を、二の丸からは正面からの
攻撃を受け続けるが、それを通過したとしても、枡形の先にある門で止
動きを止められた状態で、正面と左右からの攻撃で殲滅されるという仕
掛けになっている。