八王子の景色   本丸(2)                              [戻る]


本丸には虎口が2か所ある。
1つは引橋を渡った地点の枡形虎口で、引橋という強力な防御手段に加え、
敵の侵入を完全に封鎖する強固な守りがされている。

枡形虎口は、正面と両側面の三方向から敵を攻撃できる構造となっており、
「敵を本丸には絶対に入れさせない」という意思が見て取れる。

説明板によると、発掘調査によってこの枡形虎口には扁平な石が敷きつめ
られていたことが判ったという。滝山城は「石垣のない土の城」と言われるが、
この虎口は特別な場所であったのだ。
石は階段状に敷かれ、側溝や暗渠で排水する設備も備えていた。
虎口の入口(引橋)側は幅が広いが、本丸側は道幅を狭めるという配慮もな
されている。










国史跡 滝山城跡・枡形虎口
この場所は、中の丸から引橋を渡って本丸に入る虎口(城の出入り口)という
部分に当たります。
虎口は防御と攻撃の両方の機能を備えたもので、中世末において発達したも
のですが、滝山城の虎口は、周囲を土塁で囲った枡形虎口と呼ばれるもので、
北条流の築城の特徴のひとつと言われています。

東京都では平成8年11月5日〜12月28日にわたって枡形虎口の発掘調査
を行いました。現在は元通りに埋め戻してあります。

(東京都の説明板より:一部省略)

枡形虎口から本丸へ入るには、大きく右に曲がり、石段を上がるが、ここには
門があったに違いない。

滝山城のような土の城にとって水の処理は大きな問題で、大雨や台風などの
際に大量の水が流れ出すと城の崩壊につながりかねないため、排水は非常
大事なこととなる。
その解決策として、この虎口には石組みの側溝や暗渠が造られていた。







本丸の南側に設けられたもう1つの枡形虎口。
こちらは屈折した道と土塁とで本丸への侵入者を阻む。

この虎口から、引橋下の堀底道まで通じる道があるのだが、この道の存在は
謎である。
中の丸を通り越し、引橋を渡り、枡形虎口を抜けなければ本丸には到達でき
ない厳重な防御が仕組まれている一方、こちらの防御は手薄である。

両側から迫り、鉤の手に曲がった土塁は目線よりも高い万全の構え。
慶安古図にもここが虎口であったことが記されているだけに、この虎口には
何かありそうな気がするのだ。

古城の謎を見つけてその謎を解くのは、そこを訪れて何かを感じることから
始まり、その人の想像の中で味わえる楽しみである