八王子の景色   コの字型土橋(1)                     [戻る]


天野坂、枡形虎口、小宮曲輪、三の丸と連続する防御を通過すると、
その先にはコの字型土橋が待ち構えている。

三の丸の下を通過すると、写真右手前の説明板のところから直角に
左に折れ、カラーコーンの先では右に直角に曲がる。

土橋はそのまま直進し(コンクリート道左の土が盛り上がった部分)、
写真奥のところでまた右に直角に曲がって、城の中心部へと入って
いく。

中の丸に国民宿舎が建設された際に、城道は工事によって車道に
改変されてしまい、旧状がわからなくなっている。
現在はクルマが通れる道幅だが、戦国時代の土橋の幅は車道の半分
から3分の1くらいであっただろう。

説明板に往時の想像図が書かれているので、見比べてみると面白い。












三の丸からコの字型土橋を見下したところ。

土橋の周囲にある三の丸(現在地)、無名曲輪(写真右端)、千畳敷
(写真奥)から、侵入する敵に対して攻撃ができる。

土橋は上り坂になっているために進みにくく、何度も折れていることで、
城側からは敵の正面、側面、背面に対して複数の攻撃点から撃ち掛け
られる仕掛けになっている。

このようなコノ字型の長い土橋は滝山城以外には例がないと思われる。

土橋の右に幅の広い堀が見られる。ここは空堀かもしれないが、湧水を
利用した水堀であったとも考えられる。














コの字型土橋」の遺構説明板。

堀を掘る際に、一部を土のままに残し通路として使う場所を
土橋という。当時はもっと狭く、敵方の侵攻に対して4回も
体の向きを変えて進ませ、側面攻撃ができるように工夫して
いた。
敵の直進を防ぐための土橋であり、大変貴重な城郭遺構であ
る。

設置年月日 平成24年3月 文責 滝山城跡群・自然と歴史を守る会
                   東京都西部公園緑地事務所 
                   小宮公園サービスセンター