八王子の景色   根小屋城跡 (9) 南曲輪東虎口              [戻る]



南曲輪は丘陵の尾根上にあり、この尾根を東に辿ると丘陵の
先端にある日枝神社の境内に出る。
日枝神社の境内の東側は堀切状の地形で、ここを古甲州道が
通っている。

日枝神社の境内は城郭のような造りであることから、ここには
根小屋城の出丸があり、古甲州道の監視を行っていたものと
考えられ、根小屋城の外郭ラインといえるだろう。

根小屋城の内郭ラインはというと、南曲輪の東端にある。
写真は南曲輪の東寄りの部分だが、中央に土橋状の尾根道が
通り、右には段状になった平場がある。

ここはまだ城内だが、この先に進んでいくと東虎口がある。












東虎口を東側から見たところ。
尾根道は土塁状に盛り上がり(矢倉台か)、その下を回り込むよう
に城道がくの字型に曲がっている。
土塁が切れ落ちた先は竪堀が切ってある。

東(手前)側から攻め込む敵は、竪堀を避けるために土橋を渡ら
なければならないが、土橋で一列になったところを、一段高い
土塁上にある矢倉から狙われるのだ。
土橋を通過しても、矢倉台からは槍や弓で側面攻撃を受けること
になり、この虎口を通過することは難しい。

この南曲輪の東虎口遺構は、中世城郭の遺構をよく留めている。














竪堀の底から見上げた様子。
竪堀は深く、鋭く掘り込まれているが、400年以上を経た現在で
この状態なのだから、往時はさらに深く、鋭い竪堀であったことが
想像できる。

この竪堀に落ちた敵は、矢倉台下の平場からも攻撃を受けること
になり、無事に逃げ帰ることは不可能だろう。

土橋、竪堀、矢倉台とシンプルだが、非常に堅固な防御力を持つ
虎口は、とても貴重な遺構である。