八王子の景色   根小屋城跡 (6) 北曲輪虎口            [戻る]


両側が崖になった土橋通路を進み、中間部にある小曲輪を
通過すると、通路は先に向かって広がっていく。
通路の先には、土塁で高められた北曲輪の壁があり、その
手前は堀切で仕切られている。

堀切で進路を止め、曲輪のから正面を攻撃するというシンプル
な防御は、細尾根上を利用して造られた根小屋城での最大限
の防御方法なのだろう。
曲輪の面積を広く取れないという地形状の制約の中で、敵を
寄せ付けない工夫を精一杯にしていることが感じられるのだ。

土塁の右に見えるのが北曲輪の虎口である。














堀切の堀底から西を見たところ。
右(北)が北曲輪の壁。堀切を掘った土を土塁として積み上げて
左の小曲輪との比高を出している。

堀切を進んだ先は断崖であり、敵を追い落とすことができる。

この堀切も400年以上の時を経て、かなり埋まってしまっている
ことだろうが、仮にあと3m深かったとすれば、北曲輪からの攻撃
に晒されながら堀を渡ることは不可能だろう。

















北曲輪の虎口。
堀切に向かって虎口が開いているのは奇妙にも見えるが、これ
も地形状の制約のためだろう。

北曲輪の南側に造られた土塁の下を回り込むような坂虎口は、
これも強力な防御になっている。

虎口の下、堀切が下に向かっているが、これは北東方面の尾根
道につながっている。
北東尾根から攻め寄せる敵に対しては、急坂を折り返す仕掛け
で、万全な防御を仕組んでいる。
虎口で折り返さずに真直ぐに進んだ敵は、上の写真にある堀切
の先の崖に追い落としてしまえばいい。