根小屋城跡(5) 土橋通路 [戻る]
南曲輪から空堀を越えて小曲輪に上がると、そこにはトラロープ
が張られている。
「この先には進むな」という配慮であることは明確だが、自己責任
の原則で進む。
ただし、ここから先は一般の方にはお勧めできない。
この道はただの道ではなく、人ひとりが通れる幅しかない、土橋状
の通路なのだ。
これほどに険しく恐ろしい土橋は他の城にはない。
道はうねるようにアップダウンを繰り返し、両側は崩れ落ちて露出
した土は垂直に切り立つ。
ここから落ちたら、戻ってくることができるだろうか。・・・そんな思い
が頭に浮かぶ。
道の端は崩れる危険があり、歩くことはできない。
足元に細心の注意を払いながら進んでいく。
土橋通路の様子。
曲がり、うねる龍の背のような土橋の幅は1mもない。
周囲の崖は、大きく崩れているところもあるのだが、
この土橋はよく崩れずに残ったものだと思わずにはいられない。
戦国期当時のこの道はどのような姿であったのだろうか。
深い谷に屹立する土橋通路はおよそ100m程続く。
土橋通路を進んでいくと目の前に小曲輪が現れる。
南曲輪と北曲輪の中間あたりに位置し、その前後は土橋になって
いるので、馬出と考えていいだろう。
円形に近い馬出は、中央を通路が通過している。
その両側は丸い高みになっていて、敵の侵入を阻む矢倉門や木戸
などがあったのではないか。
細い通路を一列になって攻め寄せる敵を迎え撃つ絶好の場所で、
400年以上経た今も、築城者の意図が感じられる遺構である。