八王子の景色   片倉城跡 (8) 本丸                   [戻る]


片倉城跡の本丸は、古図によれば周囲はすべて土塁で囲われていたが、現在は
その遺構がところどころに残るだけになっている。
北、東、南は比高7〜8m程の崖で守り、西は二の丸との間に空堀を入れている。

片倉城は舌状台地を利用して築かれていて、本丸はその先端にあたるため、二の
丸よりもやや低い位置にある。
そこで、広い空堀を造ると同時に、掘り出した土で本丸側に土塁を築いて、高低差
の不利を打ち消している。

本丸の北側には住吉神社が鎮座する広い腰曲輪があり、その腰曲輪に対する張
り出し(写真の紅葉の樹の奥)は、櫓台の跡と考えられる。
















空堀には折りがあり、本丸から折りへの張り出しは一段高くなった形状が現在も見
られ、櫓台として空堀を警戒していたことがわかる。
また、片倉城古図には、この櫓台の付近に井戸が見られる。

写真のコンクリート製の橋の先(左)が二の丸。
橋の奥の盛り上がり部が、空堀に対して張り出した櫓台跡。
本丸から二の丸に向かって勾配が見られるのは、土塁があった形跡だろう。




















本丸の南側には、コンクリート製のベンチが置かれている。
このベンチの後も一段高くなっており、直下にある横堀に張り出した格好で南からの
侵入者を警戒している。

本丸は、二の丸に比べて面積は小さいが、周囲に土塁を巡らせ、また要所に櫓台を
配置することによって集中した防御ができる要害になっている。
井戸により飲料水は確保できたので、いざというときは籠城戦も想定していただろう。