八王子の景色   浄福寺城跡(3) -南尾根-                   [戻る]


浄福寺城の主郭下から山麓の浄福寺へ向かって伸びる尾根を、ここ
では「南尾根」とする。

この尾根は、浄福寺から最短距離で主郭に到達できる。
浄福寺が根小屋式城郭の居館部であったとするならば、この南尾根
は八王子城における「殿の道」同様に、山麓から山頂への最短ルート
であったといえる。

遺構を見ると、狭い尾根筋に階段状に曲輪を配置するのは西尾根と
似ているが、曲輪と曲輪との間に、尾根の両側を竪堀として掘り落と
して、尾根中央部のみを土橋として残した遺構が見られる。
曲輪間の段差をつなぐよう、土橋は坂であったものと思われる。
また、遺構は残っていないが虎口様の防御設備もあっただろう。

また、主として高低差を利用した守備の西尾根と比較すると、竪堀や
土橋などによる防御を連続して設けるなど、やや技巧的な防御思考が
見えてくる。








尾根の下側から上を見たもの、

細い尾根に人工的に段差を設けている。
また、手前には両側に竪堀を落とし、掘り残した中央部を土橋として
いる。

竪堀、土橋、高低差などを組み合わせた防御によって南尾根からの
侵入を防いでいる。


















南尾根の竪堀が西側に落ち込んでいく様子を上から撮ったもの。

崩壊などが進んでいるが、この竪堀跡の姿からでも、往時の姿を想像
するには充分だ。