八王子の景色   浄福寺城跡(2) −西尾根−               [戻る]


浄福寺城跡を初めて歩いたのはこの西尾根だった。
麓の浄福寺でおよその道順を伺い、山頂まで行ってみた。

墓地を抜け、石仏が並ぶ細い山道を折り返して登ると、陣馬街道
を走るクルマと浅川の流れが間近に見える。
息が切れ始めた頃、観音堂へと上がる石段が現れる。
急な石段の先には小さな赤い観音堂が建っている。

観音堂が建つ境内は削平された馬蹄形の広い平場になっていて、
観音堂の裏は一段高くなり、上下2段の曲輪となっている。
今上がってきた折り返しの急坂、石段が示す急斜面の切岸、枡形
らしき虎口遺構などはここが重要な防御地点だったことを示す。

今は樹木に覆われているが、この木を伐り払えば案下道(当時の
案下道は浅川の南側を通っていた)がよく見通せただろう。












観音堂を過ぎると、緩い上り下りを繰り返した後に、両側が深い
谷となった細尾根の急な上り道になる。
道の途中には数か所の曲輪跡と見られる小さな平場が見られる。

枯葉が積もった斜面は滑りやすく、歩きにくい。
途中の曲輪跡に手で掴めるくらいの大きさの、丸みを帯びた石が
散乱しているの場所がある。
河原石がこの場所にあるのは、投石用としてここに持ち込まれた
というこおだろうか。
観音堂から15分程登ると、山頂曲輪下の帯曲輪に出る。

写真は曲輪跡から尾根道を見下したところ。
自然崩壊により曲輪は崩れているが、急勾配の尾根道は防御
には好都合だったことが想像できる。













西方から見る西尾根。
右端の急な落ち込み部の上の平坦部が観音堂のある曲輪。
人が歩ける道沿いは広葉樹、谷には針葉樹と色分けできている。
観音堂の先からは細い尾根に残る竪堀跡や曲輪跡を見ながら
左端の主郭へと向かう。