^{西川信濃守屋敷跡　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　［戻る］}


西川信濃守は八王子城主・北条氏照の御典医であった。
その屋敷跡が城下の根小屋地区に残っている。

屋敷跡には石垣が残り、石の階段や枡形が見られる。
だが、石垣は八王子城内に見られる野面積みではなく、表面を
加工した石で組み上げられており､組んだ石垣に反りがあること
から、石垣自体は江戸期以降に積んだ石垣であろう。

石垣は、下級家臣や領民などが通行したとされる登城道に面し
ている。この道は「下の道」と呼ばれている。
「下の道」は、上級家臣や訪問者が使う公用路である「上の道」
に比べ道幅が狭く、城山川沿いの低地を通っている。
ここから城山川越しに見上げると、「上の道」が見られる。

西川信濃守屋敷前では、１〜２間程度の道幅はあっただろう。

屋敷跡は私有地内にあるため通常は見学できません。







現在見られる石垣は、二段になっていて下段の入口（上掲写真：
石段であろう）と上段の入口（左写真）の石段は食い違いになって
いる。

この付近は「根小屋」という家臣団の居住区にあたる。
公用路である「上の道」は、八王子城を訪れる人々に対して城下
の堅固さを「見せる」ための道だった。
この西川信濃守屋敷も威容を誇っていたに違いない。