八王子の景色   御主殿の滝                            [戻る]


御主殿地と太鼓曲輪尾根との間に流れるのが城山川。
ここに流れ落ちる2段の滝が御主殿の滝。
ここは、落城の際に婦女子が自害して身を投げたといい、川の水
は3日3晩赤く染まったと言い伝えられる。
「婦女子が大勢身を投じた」との話に、大きな滝壺を想像して訪れ
ると、存外小さな滝であることに驚く。
雨の翌日や梅雨の時季などは水量が増えるが、冬場などは水が
わずかに落ちている程度にすぎないが、八王子城の真下を貫いて
いる圏央道の工事もその一因であるという。

国指定史跡 八王子城跡
御主殿の滝
天正十八年(一五九〇)六月二十三日、豊臣秀吉軍の軍勢による
攻撃で落城した際に、御主殿にいた女性や子ども、将兵たちが滝の
上で自刃をし、次々と身を投げたと言われています。
その血で城山川の水は三日三晩、赤く染まったとの言い伝えが残
っています。
   昭和六十二年三月三十一日  八王子市教育委員会

(八王子市教育委員会の説明板より)







御主殿の滝を上から見下ろしたところ。

写真を撮った場所は土塁状に一段高く、滝に面した側には石積み
が良好に残っていることから、何らかの構造物である。
慶安古図で曳橋の上流部に描かれている橋台の跡と思われる。
古図によれば、御主殿の内枡形から、橋を渡り太鼓曲輪へ登る道
がある。

この土塁状地を城山川の水を堰きとめた堤跡とする人もいる。
氏照の居城であった滝山城には2ヶ所の大きな人工池がある。
この人工池は、生活用水や防御上の設備としてだけではなく、
来客の接待の際の借景として、また観月や酒宴に小舟を浮かべ、
その風情を楽しんだと考えられる。
氏照が八王子城にもこのような池を採り入れた可能性はある。

御主殿の滝周辺には多くの謎が残っている。