八王子の景色   御主殿跡(2)                       [戻る]


八王子城跡の整備
国指定史跡八王子城跡の整備は、国(文化庁)の補助金を受け、平成20年
度〜平成24年度の5カ年計画で進めました。
平成24年度は、最終年度として城主北条氏照の居館のあった、八王子城の
中心ともいえる御主殿跡の復元的整備工事などを行いました。
復元的整備とは
平成4・5年度に行った発掘調査では、建物の礎石、石敷きの通路、石囲いの
水路、庭園跡などが検出されました。これら本物の遺構は大切な歴史資料
ですので保護のために埋戻し、遺構面の上に60cm盛土し、その真上に検出
された遺構を忠実に表示しました。
これらのうち、会所と考えられる建物跡については整備面から50〜80cm
の高さに板の間や廊下を再現し、さらに礎石に残る柱の痕跡などから間取り
も復元しました。
一部未調査部分のある主殿と考えられる建物跡は、近隣で採取された同じ
石質の砂岩を使って礎石の配置を再現しました。床を支えるつか柱の部分
は礎石のみではなく、小石を埋めたもの、地面を固めくぼませた所も忠実に
表示してあります。

(八王子市文化財課資料『御主殿跡復元的整備について』より)

左は御主殿跡地の復元的整備された礎石や溝など。
御主殿中央の緑色の芝地部分は未調査部分となっている。






庭園は整備面上に発掘された状態を再現しました。ただし、整備面より突出
する石はコンクリート製の擬岩で本物の石を覆ってあります。少し白っぽく見
える石がそれで、8ケ所あります。
(八王子市文化財課説明資料より)

左は御主殿から見た庭園。
庭園の奥には、富士山を模したと見られる庭石が残る。
庭園の左(南)には、床面までを復元的整備した会所があり、庭園は御主殿
からも、会所からも眺められるようになっている。

















溝や穴の深さも忠実に再現してありますが、30cmを越えるものについては
遺構保護のため、底を黒い樹脂系の舗装で表示してあります。塀跡と掘立
建物部分に見られる柱穴も、黒い樹脂系の舗装で表示してあります。四角か
丸かという形や、柱の大きさも忠実に再現してあります。

(八王子市文化財課資料『御主殿跡復元的整備について』より

復元的整備をされた遺構には、それぞれ解説板が置かれているので、それ
ぞれの遺構の意味がよくわかる。

復元的整備がなされる前は、御主殿跡は単なる芝地に過ぎず、発掘調査さ
れた際の写真などをたよりに、御主殿や会所などを想像するこらいしかでき
なかったが、今回の整備の結果、建物の位置や大きさが視覚的に理解でき
るようになったことは、八王子城の歴史的価値を知るために役立つことは間
違いない。

八王子城に続き、滝山城跡も発掘調査と復元的整備をし、八王子の新たな
観光資源として活かすことを期待する。