八王子の景色   出羽山城跡(4) -主郭-                     [戻る]


南北に長い出羽山公園の北端が主郭と考えられる。

主郭は公園化のために整地されているので、ここにいる限り「出羽山城」
という雰囲気はまったくない。
城郭遺構は、自然崩壊や公園化でほとんどが失われているのだろうが、
現況観察から往時を推定していく楽しみもある。

主郭の周囲は、比高は15m程だが切り立った壁状になっている。
特に主郭の東側は自然地形なのか、小さな谷状になっている。

















主郭の北端(前掲写真の背後)に土塁と思われる遺構が見られる。
土塁の向こうは切岸になっていて、眼下に住宅を見下す。

住宅地の北側には城山川が流れているので、これを堀として利用していた
と考えていいだろう。

出羽山城は北を城山川、西と南は泥田状の湿地で防御し、東を通過する
かまくら道と北を通る八王子城下の城道を抑える位置にあった。

館町にある浄泉寺も近藤出羽守の館跡(浄泉寺城)の伝承がある。
これも、鎌倉街道山の道から分岐するかまくら道を抑えていることから、
浄泉寺城と出羽山城は相互に連携をとっていたと考えられる。















主郭となっている公園の東屋付近から西側の住宅地に下りる階段は、
急な角度に立ち上がっている。

これも公園化の際に削ってしまったのだろうが、2階建ての住宅を越え
る比高と切岸によって防御を固めていた痕跡であろう。

この階段は枡形虎口にも見えるが、主郭から八王子城方向への脱出路
とみるのも面白いのではないか。