下小田野の水路跡 [戻る]
松姫出家と寺として知られる下恩方町の心源院の近くに残るのが、
農業用水路の名残り。
丸石を積み上げてコンクリートで固めた上に、コンクリートの管が
まっすぐにつながって伸びている。
下小田野の水路
戦後の食糧難のとき、子供たちの弁当の御飯を白い御飯にしてあ
げようとの思いがあった。それには水路が必要なため、国と都から
補助をうけ1955年(昭和30)に下小田野の水路が完成し、農家
30軒で約5haの水田ができた。
心源院の上からポンプで水を上げるため、水源のスイッチをかけて
とめる仕事を順番でやった。やがて米が安くなり、1990年(平2)に
水路は中止となった。
(八王子の今昔刊行会 編「市民の写真集 八王子の今昔」より)
この水路は、心源院の西の北浅川上流でポンプでくみ上げた川の
水を、田んぼへ流しすために作られたもの。
そのため、西から東に向かって緩い勾配がついているのだろう。
戦後の食糧事情が悪い時代に、子供たちに白米を食べさせようと
した大人たちの思いが伝わる貴重な遺構だ。