八王子の景色    蛇滝茶屋                              [戻る]


裏高尾町の旧甲州道中、バス停「蛇滝口」の近くに立つ「蛇滝茶屋」。
街道に沿った長い建物の雨戸はすべて閉ざされていて、内部の様
子を見ることはできないが、これは高尾山への参詣者のために建て
られた休憩所である。
特徴的なのは、屋根の庇の下に並ぶ講の木札。
数多くの木札を見ることできるが、神田や下谷、浅草、上州伊勢崎
など各地の講が趣向を凝らした木札を貼り出している。

蛇滝茶屋
高尾登山の蛇滝口に位置し、薬王院参詣の宿泊所・休憩所として
建てられた。明治36年(1903)築と伝わっている。
軒下びは講(参詣するために組織された信仰集団)の名前を彫った
参詣札(まねき看板)がずらりと並び、参詣の多さを物語っている。

(八王子教育委員会の説明板より)












蛇滝茶屋(休憩所) 裏高尾町八〇〇
記録文書類は発見されていないが、明治三六年(一九〇三)建造
と伝えられる。高尾参りの行者、巡礼の宿泊及び茶屋として建造
されたもので、現在では年に一度、終戦の碑の集会所として利用
されるほかは使用されていない。
桁行六間梁行二間の切妻造トタン葺きで、川縁の地形を利用して
三段の自然石を積み基壇を設け、この上に自然石礎を置いて柱
立てする懸崖造りとする。内部は八畳二間、六畳一間に分け、崖
側に廊下を通す。川上側八畳は床飾りを備える。(中略)
外観上は変哲のない茶屋だが、内部は明治時代の数寄屋建築
の特徴をよく伝えるもので、豪華ではないが、バランスの取れた
遺構である。本格的数寄屋といえるほどの質の高さは無いが、概
して丁寧な造りとなっており、田舎地における「高級」観を表現した
ものと理解される。建築的に特筆すべき点は持たないが、全面庇
に残された多数の参拝札は、明治末期から昭和初頭にかけての
高尾信仰と遊山の結びつきの様を現代に伝える。

(八王子市郷土資料館「八王子市伝統的建造物文化財調査報告
書」より)