八王子の景色   興福寺 横木の門                                                    [戻る]



東浅川町・興福寺の境内の門は、「横木の門」とも呼ばれていて、
江戸時代にこの地の代官であった設楽家の屋敷門を移築したもの
と言われている。

興福寺山門(伝設楽代官屋敷門) 東浅川町七五四
建造年代は不明だが、元禄の頃(十八世紀末〜十九世紀初頭)に
設楽代官家の正門あるいは裏門を移築したものと伝承する。
もと境内地入口に位置したが、昭和五〇(一九七五)年頃に車の
衝突によって大きく損壊し、現在の位置に引き屋すると同時に大幅
な修理を行った。
一間一戸の薬医門で、切妻造銅板葺き。主柱は五平方柱、控柱は
方柱でともにコンクリート礎石上に立つ。(中略)
全体に残存状況が悪く、特に柱足元を礎石内に埋めているため、
腐朽の進行が著しい。また蝶番等お腐朽も進行しているようで、主
柱取り付き部に歪みが見られる。(中略)
代官屋敷門であったという伝承を持つ点で、郷土史的な歴史遺産
であると位置付けることができるが、建築的に特筆すべき特徴を
持たず、重要なものではないと言わざるを得ない。

(参考:八王子市郷土資料館『八王子市伝統的建造物等文化財調
査報告書』平成13年3月)






一見した印象は、大きく広がった武家然とした立派な屋根に対して、
弱々しく見える柱などの対比がアンバランスである。
そのアンバランスを台風などの被害から守るために、横から2本の
鋼材で支えている。

また、車に衝突された跡も残っており、満身創痍の門である。