八王子の景色   関根家長屋門                                                           [戻る]



小宮町の関根家は、「八石下」の地名や、大和田町の「関根神社」に
も関係するという、地域を代表する名家である。

関根家の入口に建つ長屋門は、どっしりとした重量感が感じられる。

関根家長屋門
建造年代は不明だが、家人の伝承では十九世紀前半の建造という。
小屋に用いる材の表面に見られるチョウナ仕上げの状態より、伝承
時期の建造と考えられる。
通り部正面の冠木、桟梁、人見梁を入れて板壁を立て、更に敷桁、
セガイ梁を見せる造形は、当地の長屋門としては比較的豪華な構え
である。また、東西室全面に設けられた出格子は、極めて高い格式
を表現する形式である。関根家は江戸中期から裕福で名主を務め、
幕末頃から代々医師を職業とした。その社会的ステイタスを表現する
形式として、意図的に豪奢な造りを選択したと考えられ、市内に類を
見ない特殊な例である。

(参考:八王子市郷土資料館『八王子市伝統的建造物等
文化財調査報告書』平成13年3月)


建物の重厚さは、その財力や社会的地位によって生み出されたもの
だというが、敷地も奥が見えない程に広い。