八王子の景色   林副重旧宅                                                                    [戻る]



大塚・清鏡寺の本堂は寺院というよりも民家のような外見をしている。

どっしりとした構えや大きな反りを持った屋根、正面や側面をガラス戸で
巡らせた造りは、明治時代の自由民権家・林副重の自宅の母屋を移築
したものだという。
林副重は自由民権運動を始め、幻の鉄道となった南津鉄道の計画にも
その名が見える。

林副重
1860年(安政7)2月3日〜1935年(昭和10)10月25日。自由民権家。
大塚生まれ。武相懇親会・融貫社に参加、1882年(明治15)12月自由
党入党。和田村の柚木芳三郎らと博愛社を組織し、大塚村近隣の団結を
図る。83年八王子広徳館館主。南多 88年2〜10月神奈川県会議員を
務め、北海道開拓事業に向かう。
(八王子事典の会『八王子事典』)

広徳館は、明治16年12月に八王子駅南口近くの長心寺附近に建てられ
た自由党の活動拠点となったところである。






清鏡寺の観音堂前から見下ろすと、民家の造りであることがわかる。

清鏡寺の本堂が火災で焼失した際に、林副重が自宅の母屋を提供したと
いう。

大光寺は関東綱五郎が、永泉寺は八木下要右衛門が、菩提寺の火災の
際に自宅を寄進している。

往時の寺と檀家の繋がりは、現在では考えられない程強かったらしい。。