八王子の景色   縁結びの木                    [戻る]


東浅川町の熊野神社の本殿の隣に大きく枝を広げた木がある。
幾本もの太い根が地面をしっかりとつかむ、堂々とした大樹。
その根元に立つ解説板にはこのような文がある。


昔の恋の物語(縁結びの木)
今から四百年の昔 八王子城主 北条氏照の家臣、篠村左近之
助に安寧姫という、美しい娘がおりました。氏照はこの娘をたい
へんかわいがり、城下の月夜峰で催される宴には、いつもそば
においていました。
宴ではよく獅子舞が演じられその中にひときわ上手に笛を吹く、
狭間の郷士の息子という若者がいました。氏照は笛の名手で
ありましたから、この若者を宴に呼んでは笛の音を楽しむので
した。
安寧姫とこの若者はしばしば顔を合わせることになり、いつしか
恋が芽生えるようになりました。そしてこの木の下で逢瀬を重ね
ていたという。
その後二人がどうなったか定かではありません。(古老の話)
この木は樫と欅が根元が一緒になって成長した相生の木でした
ので、いつしか「縁結びの木」と呼ばれるようになりました。この
木の根元に自分の名前と思いを寄せる人の名前を書いた小石
二つを置くと、願いが叶うと言われています。


縁結びの伝説は今なお残り、根元にはたくさんの小石が置かれている。