八王子の景色   八王子花街・黒塀通り                                    [戻る]


「黒塀通りができた」という噂は聞いていたのだが、
どこにあるのかは知らずにいた。
先日、放射線通りを通りかかったときに小さな看板に
「八王子花街・黒塀通り」の文字を見つけたので、
その小路を入ってみた。

八王子花街・黒塀通り
八王子の中町・南町は、かつて多摩地区最大の花街・
黒塀の街として大いに賑わいました。
時代とともに薄れてゆく大正・昭和の町並み情緒を復活
したく、東京都の「江戸・東京・まちなみ情緒回生」事業
として補助を受け趣きのある街並みを整備しました。
   平成21年11月吉日
   中町周辺地域まちなみづくり協議会


この路地に習う建物の板塀やブロック塀が黒く塗られて
独特の空間になっている。
往時の花街の姿は知らないが、それらしい風景を復活
させたという試みに拍手を送りたい。
八王子から伝統や歴史を伝えるものが急速に失われて
いるという危惧を感じるのは私だけでなないだろう。
それらを保存・活用することが求められている。






路地に入ると、その一角は黒い塀が続いている。
余計なものが置いていない道に柳の枝が風情を添える。
街灯や電柱も塀の高さまで黒く塗装する配慮もいい。

わずかな距離ではあるが、細部まで心配りされた路地
にあるのは、「昔の姿に戻そう」とする復古趣味ではなく、
「今ここに残る素材をどう活用するか」という試みだ。