八王子の景色  古淵                                    [戻る] 



中里介山が「隣人学園」を開き、また多くの文人墨客が宿泊した
という「花屋旅館」(現在旅館としての営業はしていない)の裏手
にあるのが古淵と呼ばれる景勝の地である。

上流の岩の間を小仏川の流れが飛沫をたてて流れ落ち、その水が
奇岩の間の淵を鏡のように澄んだ水面と川底まで見通せる澄んだ緑色
のミスとなってゆったりと流れている。

私が小学生の頃の夏休みは、ここは子供たちの水遊びの場だった。
岩の上から飛び込んだり、淵の水の中を泳いだりしている子供が
たくさんいたものだ。















獅子淵
小名字(こなじ)というところの小仏川、案内川両流の合し来たれる川中
なり。両岸は磐石にて、水底の深さおよそ一丈余。又、その傍らに獅子
岩と称する奇岩あり。

(植田孟縉「武蔵名勝図絵」より)

植田孟縉は、ここを「獅子淵」と呼んでいるが、それは獅子岩という奇岩
があったことによるという。
今、その獅子岩がどこを指すのかはわからない。

ここでは、昔から親しまれている「古淵」という名で呼びたい。
















古淵はすぐに浅瀬になって、国道20号が通る両界橋の下を
流れていく。
両界橋の上には中央本線の緑色のガードが横切っている。

左にの建物が、旧花屋旅館。
旅館訪れた客達は、宿の裏手の川に出て、ゆったりとした時
を楽しんだことだろう。